【書評|要約】「13歳からのアート思考」が今の大人に必要な件

【書評|要約】「13歳からのアート思考」が今の大人に必要な件

妻を愛し、妻に愛されたい男コアラッコです。

今回は2020年に出版された著書『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』を書評・要約していきます。

本著は美術教師である末永幸歩(すえなが・ゆきほ)さんが、「アート思考」を中高生向けに噛み砕いて解説した一冊です。

▼この本から学べるポイント

中高生のときに美術が苦手だった人でも、アート鑑賞が楽しくなる
「アート思考」の具体的な思考ステップがわかる
アート思考を通して、自分の思考の狭さが実感できる

『13歳からのアート思考』あらすじ解説

本著を一言で表すのならば「アート思考を鍛えて自分なりの答えを導き出せる人間になろう」ということだと解釈しました。

この本の面白いところは、美術講師である著者の末永さんの授業を受けているような感覚になれる組み立てになっている部分です。

簡単にあらすじをまとめてみます。

問題定義

まずはじめに「ある絵画」を題材として鑑賞してみようという私たちへ課題が出されます。

そこで著者は、多くの人は絵そのものではなく、解説文を読んでいる時間が長かったのではないかと問います。

全くその通り、私も絵ではなく解説文を長く読んでいました。
(美術館でも知らない作品だとついつい解説文を読んで知ったような気になってしまいます)

この体験を通じて、人はアート作品を前にしても情報だけ照らし合わせて、本質的な「自分なりのものの見方・考え方」ができていないということがわかるのです。

アート思考とは何か

先ほどの問題でわかった通り、私たちはつい情報に流されて、他人の評価軸で物事を判断してしまっていることが多くあります。

しかし、こうした思考だと現代社会の潮流である「変化が激しく世界の見通しがきかない」時代では立ち行かなくなり、自分で人生をクリエイトすることができなくなってしまいます。

この「先が読めない」時代を生きるうえで必要になってくるのがアート思考であると著者は言います。

アート思考とは何か?という問いについて著者は

自分の内側にある興味をもとに自分のものの見方で世界をとらえ、自分なりの探求をし続けること

と定義しています。

本著では、美術を通じてこのアート思考をどのように訓練すればいいのかを、具体的な6つのアート作品を通じて教えてくれています。

アート思考の過程を6つのアート作品で体験

1時限目|「すばらしい作品」を考える

題材:緑のすじのあるマティス夫人の肖像

私たちはつい「すばらしい」と「綺麗・美しい」を混同してしまいます。

では、「綺麗・美しい」ものは全て「すばらしい」のでしょうか。

この授業ではそんなアート作品においての「すばらしい」という定義(個人の固定概念)を覆してくれます。

2時限目|「リアル」を考える

題材:アビニョンの娘たち

私たちは「リアル」であるかどうかを考えるとき、自分の目で見た対象とどれだけ近いかで判断をしがちです。

この授業では、ピカソの絵を通じて私たちがリアルと信じていたものが「表層の部分」だけなぞっていないかと教えてくれます。

3時限目|アート作品の「味方」を考える

題材:コンポジションⅦ

「美術館に行ってみたはいいけど、作品の見方がよくわからない」

私みたいな美術に詳しくない人間なら誰でも悩んだことがあるのではないかと思います。

この授業では、そうした人のために「アウトプット鑑賞」という方法で、自分なりの作品の見方を提示してくれます。

4時限目|アートの「常識」を考える

題材:泉

「アート」といっても様々な作品があり表現があります。

そこで、アートの常識とは何のかを考えていくと、

・美しいもの
・自分の手で作り上げたもの
・視覚で味わえるもの

など人によって定義が異なっていると思います。

この授業では、そんなアートの常識を根底から考え直した「泉」というアート作品を通じて、私たちが普段考えている「常識」は本当に「常識」なのかという問いを与えてくれます。

5時限目|私たちの「目」を考える

題材:ナンバー1A

アート鑑賞は主に「目」を通して行われます。

実はこのアート鑑賞で見ている対象はあくまでイメージで、アート作品自体はただの物質であるということを伝えてくれるのがこの授業の目的になります。

6時限目|アートを考える

題材:ブリロ・ボックス

この授業では、今まで様々な問いがあった中で、「そもそもアートって何なの」という根本の部分を考えていきます。

・モナ・リザはアート?
・カップヌードルのパッケージはアート?

そんな問題を通して、アートの枠組みを探りながら、「ブリロ・ボックス」という作品に込められた意図と、自分自身の「アート」に対する考え方を再考させてくれる授業です。

『13歳からのアート思考』自分なりの答え

固定概念を意識する

子供のころですが、夜に空を眺めていた時、太陽が見えてビックリしたのです。

なんでビックリしたかというと、

「太陽は昼しか見えない」という固定概念が私の中にあったからです。

こういう固定概念の怖いところは、けっこう無意識で思っちゃっているので、なかなか気づけないという点です。

本著では、アート作品を通して自分自身の固定概念にとらわれず、「自分なりの答えの見つけ方」をいかにして引き出すかを教えてくれました。

他人を許容できる

本書に出てくるアンディ・ウォーホルの作品のメッセージ「アートかアートじゃないかってナンセンスじゃない?」という問いを通じて、

「他人は他人で、いろんな捉え方があることが当たり前なんだよな」

ということを思いました。

例えば私にとって好きなバンドがライブ終わりに投げたギターピックはお宝でありある意味アート作品なんですが、そのバンドの存在を知らない他人にとってはゴミくずってことは全然考えれますよね。

そんな他人の価値観を自分の価値観に合わせたいという傲慢さが、他人への不寛容さ(行きつく先は差別や戦争)に繋がっているのだなと思いを巡らせました。

本著の帯に教育家の藤原和博さんが

美術は思考力を磨くための教科だったのか!とわかる本

というコメントを掲載されていますが、まさにその通りだと思います。

中学生のときに自分の画が下手で一気に美術が嫌いになった経験のある私は、当時このことが理解できていれば、こんなに美術を毛嫌いすることはなかったかも。

まとめ|年齢関係なく、全ての人にとって「今」読むべき本

新しいテクノロジーがどんどん出てきて、目まぐるしく変わる世界。

しかもそのスピードはどんどん速くなっています。

そんな世界で私たちは「人生100年時代」と言われるように、長い間適応していかなければいけません。

そうしたときに、誰かの評価軸ではなく「自分なりの答え」を自分の力で導き出せる人が人生を謳歌できるのだろうなと思っています。

私にはまだ子供がいませんが、子供ができたら一緒に読んで意見交換をしたいなと、そんな風に思わせてくれる素晴らしい本でした。

書籍情報

【書籍名】「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考
【著者名】末永幸歩
【出版社】ダイヤモンド社
【出版日】2020/2/19
【どんな本か】美術講師がアート作品を通して一緒に考える「アート思考」
【目 次】
[PROLOGUE]「あなただけのかえる」の見つけ方
[ORIENTATION] アート思考ってなんだろう――「アートという植物」
[CLASS 1] 「すばらしい作品」ってどんなもの?――アート思考の幕開け
[CLASS 2] 「リアルさ」ってなんだ?――目に映る世界の”ウソ”
[CLASS 3] アート作品の「見方」とは?――想像力をかき立てるもの
[CLASS 4] アートの「常識」ってどんなもの?――「視覚」から「思考」へ
[CLASS 5] 私たちの目には「なに」が見えている?――「窓」から「床」へ
[CLASS 6] アートってなんだ?――アート思考の極致
[EPILOGUE] 「愛すること」がある人のアート思考

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